ネタバレ感想「箪笥<たんす>」ホラーがもっと多ければ傑作だったのに

 ホラーというよりは悲劇物でした。

  • ストーリー
    2
  • ホラー
    2
  • 映像
    4
  • 演技
    5
  • テンポ
    3

評価:

目次

「箪笥<たんす>」の概要

あらすじ

 韓国の古典怪談『薔花紅蓮伝』を下敷きに、怨霊に取り憑かれた家に住む4人家族を巧みな心理描写とスタイリッシュな映像で描いたミステリー・ホラー。

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出演・監督・ジャンル等

  • 出 演 :イム・スジョン, ムン・グニョン, ヨム・ジョンア
  • 監 督 :キム・ジウン
  • ジャンル:サスペンス, ホラー
  • 上映時間:114分
  •    :韓国
  • 制作年 :2004年

以下「箪笥<たんす>」に関するネタバレあり。

「箪笥<たんす>」感想①説明しなさすぎて分かりづらい

 大筋のストーリーとしては、母を亡くした姉妹のスミとスヨンが、再婚した父ムヒョンと継母ウンジュの4人で家に暮らし始めたら、怪奇現象が発生して…というストーリーなのだが、ほとんど説明がないため、非常にわかりづらい。

 主役である姉妹二人と他の人物との関係が悪すぎて会話がほとんどないため、「この女性(ウンジュ)は誰なのか」、「この家は誰の家なのか」等、常に疑問を抱えながら見る必要があるのがストレスだった。ウンジュが継母であることはおろか、父と継母の名前すら出てこない等、この映画は隠す必要のない情報も開示しないため、色々な疑問を抱えながら見なくてはならない。

 勿論、監督は説明しない手法を敢えて採用したのだろうが、それが効果的に機能する場合は、視聴者にとって意外性があったり、隠す前と後で、シーンの受け取り方が変わる場合だ。この映画の主要な部分は、それを狙ったうえでうまくできているが、不必要な部分まで隠しすぎている。継母であることや誰の家なのかぐらいは冒頭でサクッと紹介してほしい。

「箪笥<たんす>」感想②幽霊は本当に怖いが少なすぎた

 この映画は幽霊的な恐怖と人間的な恐怖の2つで構成されており、幽霊的なホラー部分は本当に怖く、とても良くできている。悪夢から覚めた後、朝でほっとした直後に幽霊が出てくるところは意外性もあり、とてもよかった。

 しかし、そうした幽霊的な恐怖はほとんどなく、大部分は継母による人間的な怖さで構成されており、残念ながらそちらは怖くない。子どもに対し体罰をしたり箪笥に閉じ込めたり等、継母の行動は褒められたものではないが、怖いというよりは意地悪で仲が悪いだけだ。

 物語後半でスミは精神異常者で、スミが継母とスヨンを一人三役で演じてたことがわかるが、その異様さを映像でほとんど表現しなかったため、怖さには直結しづらい。また、スミの精神が壊れてしまったきっかけが悲劇的で、怖さよりも悲しさが勝る。

「箪笥<たんす>」感想③真に悪いのは父親

 一見、継母であるウンジュが悪役として描かれているが、真に悪なのは父親だろう。

 母を蔑ろにして、ウンジュと仲良くする父を見て、スミやスヨンが父やウンジュを嫌うのは当然であるし、大人げない態度も子どもなので仕方がない。

 ウンジュがスヨンを見捨てた行為は許されないが、普段から姉妹に歩み寄る姿勢は見せていたし、良いか悪いかは置いといてあのぐらいの体罰をする親はまだいるだろう。

 妻がいるのにも関わらず他の女と仲良くし、妻や姉妹を大事にしなかった父親こそ悪いのだが、それを自覚していないところも悪である。

最後に

  • ストーリー
    2
  • ホラー
    2
  • 映像
    4
  • 演技
    5
  • テンポ
    3

評価:

 ホラー映画として期待した部分がちゃんと怖かったが、少なかったのは残念。物語の核心である「主人公の幻覚」は、2004年当時は目新しかったかもしれないが、今となってはそれだけを主軸にされると弱い。

 【余談】親戚夫婦との食事会(0:54~)は、間や表情のせいでメチャクチャ面白い。

(c) 2004 Comstock Group

 

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