ネタバレ感想「プレステージ」タネがわかったマジックショーを楽しめるわけもなく…

 「確認」「展開」までは面白いが「偉業」は興ざめ。途中でオチが見えてしまった。

  • ストーリー
    3
  • 偉業
    1
  • 映像
    4
  • 演技
    4
  • テンポ
    4

評価:

目次

「プレステージ」の概要

あらすじ

 19世紀末のロンドン。若き奇術師アンジャーとボーデンは、中堅どころの奇術師ミルトンの元で修行をしていた。しかしある日、アンジャーの妻で助手のジュリアが水中脱出に失敗し死亡。事故の原因はボーデンの結んだロープが外れなかったことだった。これを機にアンジャーは復讐鬼へと変貌し、2人は血を流す争いを繰り返すことになる。

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出演・監督・ジャンル等

  • 出 演 :ヒュー・ジャックマン, クリスチャン・ベイル, マイケル・ケイン
  • 監 督 :クリストファー・ノーラン
  • ジャンル:SF, サスペンス, ドラマ
  • 上映時間:130分
  •    :アメリカ
  • 制作年 :2006年

以下「プレステージ」のネタバレあり。

「プレステージ」感想①二人の奇術師による復讐劇パートはまぁまぁ面白い

 二人の若い天才マジシャン「アンジャー」と「ボーデン」が、とある事故をきっかけにお互い復讐しあう物語。映画としては時系列が入り組んでおり、「ボーデン」が「アンジャー」の殺害容疑で裁判にかけられているところから物語は始まる。

 何故二人は血みどろの争いをするようになったのか、何故このような結末になったのかを描いていく過程で、二人のマジックショーを見ることになるが、実際のマジックショーを見ているようで中々楽しめる。

 また、お互いマジックショーを妨害し合うため、次はどんな妨害が入るのか、次の妨害はどれだけエスカレートしていくのか等、飽きずに物語を追えるだろう。そう、物語中盤までは

「プレステージ」感想②とんでもないSF装置の登場にゲンナリ

たくさんのシルクハットと2匹の黒猫
二コラ・テスラの装置により複製された帽子と猫

 物語中盤で、物質を何でも複製できる装置が登場する。この何でもコピーできる装置を使って自分をコピーして、人間瞬間移動のマジックを実行する。そしてコピー元の人間は水槽で処分するというもの。

 今まで丁寧にマジシャンの愛憎劇と人間瞬間移動の謎を描いてきたのに、いきなりトンデモナイSF設定が持ち出されてゲンナリ。叙述トリック物として見ているところに、そのトリックの肝にとんでもSF装置が使われては興ざめである。

 量子力学の理論がどうの言われても、突然すぎてSF物として受け入れられない。

「プレステージ」感想③オチが見え見え

嬉しそうに肩を組んでる双子と白けている視聴者
オチで「実は双子でした!」と言われても「知ってました…」ってなっちゃう

 この映画の最大の問題点は、オチを肝にした映画であるにも関わらず「オチが見え見え」であることだ。

 クリスチャン・ベイル演じる「ボーデン」と「ファロン」が入れ替わっていることは物語中盤には気づけるだろうし、「アンジャー」のSFマシーンによる人間瞬間移動により生じたもう一人の「アンジャー」(正確にはコピー元の「アンジャー」)を水槽で処分していていることにもすぐ気づくだろう。

 この映画ではその分かりきったトリックの種明かしを大々的に行う。途中でオチが予想できた人は白けるぐらい過剰演出だ。ラストシーンで沢山並ぶ水槽とその中で溺死した死体を見せられても「あぁ…そう…」としかならない。

【考察】「プレステージ」感想④ボーデンは双子かコピーか

 他のレビューを見ていると「ボーデンは双子か、テスラの装置でコピーされたものか」という疑問に思っている方もいるようだが、これは明らかに双子だろう。根拠は以下の通り。

ボーデンはテスラと会っていない

 「ボーデン」は「テスラ」と会っておらず、「アンジャー」を騙すためのワードとして「テスラ」を使用しただけである。

テスラの装置が完成したのはボーデンの双子登場後

 「ボーデン」の双子「ファロン」は物語序盤から登場しているが、「テスラ」の複製装置が完成したのは「アンジャー」が資金提供して、およそ2年後である。

 本映画は時系列が入り組んでいるためややこしいが、「ファロン」を生き埋めにして、それを助けた際に「テスラ」のワードを伝えるシーンがある。

 「テスラ」の装置完成前には「ボーデン」の双子である「ファロン」が存在していることは明らかだ。

【考察】「プレステージ」感想⑤「アンジャー」の自我は落ちて死ぬ方か、現れる方か

 「ボーデン」に撃たれた「アンジャー」は「毎晩迷いながらマシンに立つ。自分は落ちて死ぬ方なのか。現れる方なのか。」と発言する。果たしてどちらなのだろうか。

 量子テレポーテーションにおいて、自我がどちらに宿るかということは定番の哲学的問題であり、現実世界では実験してみるまでは不明だが、実際に「テスラ」の装置を使った「アンジャー」は、自我がオリジナルに残るのか、コピー先に移るのかを知っているはずだ。

 では何故「アンジャー」はあのような発言をしたのか。

 それは、「ボーデン」に撃たれた時の「アンジャー」にとっては、オリジナルとして意識が残ったパターンと、複製に意識が移ったパターンをそれぞれ経験しているためだ。(下図参照)

アンジャーの記憶の連続性を図式化したもの
「アンジャー」の生存者バイアス

 「アンジャー」は本番で使用する前にこのマシンを使い自分の複製をつくり、そのあと自分の複製を撃ち殺している。この実験をしたことで「アンジャー」の自我はオリジナルに残る。その後マジックショーでは、オリジナルを殺し、複製を生かすため、生き残った「複製アンジャー」からしたら「自我が複製先に移った」ように感じるだろう。

 この「アンジャー」にとっては「自我がオリジナルに残るパターン」と「自我が複製先に移ったパターン」両方を経験しているため、毎晩迷いながらマシンの前に立っていたわけだ。

 「ボーデン」に撃たれた時の「アンジャー」が「自我がオリジナルに残るパターン」を経験していることから、「自我はオリジナルに残る」ことがわかる。勿論、複製された「アンジャー」は「自我が複製先に移った」と感じているが。

最後に

  • ストーリー
    3
  • 偉業
    1
  • 映像
    4
  • 演技
    4
  • テンポ
    4

評価:

 見ていてつまらない映画ではないが、「皆さん!このオチにはびっくりしたでしょう!」と言わんとばかりのラストの演出は辟易した。「難解」「繰り返し見たくなる」と聞いていたが特に難しい話ではなく、途中でオチがわかってしまう人には「偉業(プレステージ)」の価値はない。

 作中のセリフに「タネを教えたとたん人は去る。タネで人は喜ばない。それを使う手品こそすべてだ」とあるのに、この映画は嬉々として種明かしをして終わるのは自虐だろうか。

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